0〜2歳のひなまつり離乳食と食育

管理栄養士が伝える行事食の本当の意味
「ひなまつりの離乳食って、作らなきゃいけない?」
「まだ赤ちゃんなのに、行事食って必要?」
「仕事で忙しくて、そんな余裕がない…」
0〜2歳の子どもを育てながら働くお母さんたちから、毎年のように聞こえてくる声です。
管理栄養士として、そして子どもの食育に専門的に関わる立場として、私はこの疑問にこうお答えしています。
ひなまつりの離乳食は「作ること」に目が行きがちですが、
「体験すること」こそが食育につながります。
ひなまつりは「食べる行事」ではなく「感じる行事」
ひなまつりというと、ちらし寿司、はまぐりのお吸い物、ひし餅、ひなあられ…。
日本の伝統的な行事食が思い浮かびます。
しかし、0〜2歳の子どもにとって大切なのは、
それを食べることではありません。
- 家族が集まっている空気
- いつもと違う食卓の雰囲気
- 色や香り
- 大人が楽しそうにしている姿
こうした非日常の体験そのものが、子どもにとっての「行事」です。
食育とは、栄養教育だけではありません。
文化・季節・人との関係性を含めた「食の体験教育」です。
0〜2歳の食育で本当に大切なこと
乳幼児期は、
味覚・食行動・食習慣の土台がつくられる大切な時期。
厚生労働省の食育に関する資料でも、
この時期の食体験が
「食べる意欲」「味わう力」「食への関心」につながることが示されています。
そして子どもたちは、
味そのもの以上に、
- どんな空間で
- どんな気持ちで
- どんな人と食べたか
という体験ごと「食」を記憶していきます。
(引用・参考資料:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」「食を通じた子どもの健全育成に関する検討会報告書」)
ひなまつり離乳食は「特別メニュー」じゃなくていい
「ひなまつり用の離乳食を作らなきゃ」と思うと、
それだけでハードルが上がります。
でも本来の食育は、とてもシンプルです。
- 普段の離乳食の形を変える
- 色を意識する
- 盛り付けを少し変える
- 声かけを変える
それだけで十分です。
例えば、
白粥+にんじん+ほうれん草
それだけで、立派な「ひなまつりカラー」になります。

小物で演出するだけでも、ひなまつりは「食育の時間」になる
ひな人形を飾る、
桃の花を一輪飾る、
テーブルクロスを変える、
小さな飾りを置く。
それだけで空間は「いつも」と変わります。
子どもにとって大切なのは、
特別な料理ではなく、特別な空気です。
料理がいつも通りでも、
空間が変わることで、体験は「行事 」になります。
それが0〜2歳の食育においてとても大切な視点です。

月齢別|ひなまつり離乳食の考え方
◆ 0歳(離乳食初期・中期)
この時期の食育は「体験中心」です。
- 色を見る
- 香りを感じる
- 家族と同じ空間にいる
食べなくても大丈夫。
それ自体が立派な食育です。

◆ 1歳
「楽しい食事体験」がテーマ。
- 手づかみ
- 色のある食材
- 大人と同じ時間を過ごす
食事=楽しい、という感覚づくりが最優先です。

◆ 2歳
意味づけの食育が始まる時期。
「今日はひなまつりだよ」
「お祝いの日なんだよ」
言葉を添えることで、
行事と食体験が結びついていきます。
働くママのための現実的ひなまつり食育
毎日仕事・育児・家事に追われている中で、
行事食に完璧を求める必要はありません。
✔ 作らない選択も正解
✔ 買う+工夫も立派な食育
✔ 1品だけでも十分
大切なのは「やること」ではなく、
一緒に過ごす時間で
管理栄養士として伝えたい本質
食育は、イベントではありません。
積み重ねです。
ひなまつりは「教育行事」ではなく、
家族文化の体験日です。
完璧なメニューも、映える写真もいりません。
- 同じ空間で
- 同じ時間を過ごして
- 同じ空気を感じる
それが、子どもの中に「食の記憶」として残ります。
ひなまつりが「記憶の食」になるために
レシピより大切なものがあります。
それは、
- メニューより会話
- 写真より体験
- 見た目より空気感
子どもは味よりも感情と空間を記憶します。

まとめ
ひなまつり離乳食は、文化を食べる最初の一歩
ひなまつりの離乳食は、
「作らなければならないもの」ではなく、
「体験させてあげる時間」です。
忙しい毎日の中で、
少しだけ特別な空気をつくること。
それが、0〜2歳の子どもにとっての最高の食育です。
完璧じゃなくていい。
ちゃんとしてなくていい。
家族で一緒に過ごすことが、いちばんの栄養になります。

執筆:住澤陽子
管理栄養士/キッズ食育トレーナー/離乳食アドバイザー
地域に根差した食育活動への想いから、キャリアアップを目的にキッズ食育トレーナー資格を取得。双子育児の真っ最中に直面した、時間確保という大きな課題を克服し、自分のペースで学び続け、全国の仲間との出会いと、子どもたちや家族の笑顔との出会う。現在は子どもの食育に特化した活動を展開。管理栄養士としての専門知識と、食育スクールでの経験、子育ての実体験を活かした子育中のママに寄り添う視点が評価されている。