中学受験後にゲーム・スマホ・YouTube解禁…大丈夫?6年生の思考力を伸ばし続ける台所習慣

中学受験が終わった直後の6年生。
あれほど毎日何時間も机に向かっていた日々が嘘のように、ソファでゲームをし続けるわが子。
YouTube、漫画、スマホゲーム。
今まで頑張ったのだからご褒美タイム。中学校に上がればまた時間は無くなるし。
そう思いながらも、この時間がただ流れていくことに、どこか落ち着かない気持ちになる。
この違和感ありませんか?
中学受験をサポートし終えた私自身、「これまでできなかったもんね!」と言いつつも、
他に楽しいことってないのかな?なんて思ってしまうのです。
受験で育った力は本来、生活で使える力
中学受験を経験した子どもたちは、確かな能力を身につけています。
- 長文を読み抜く読解力。
- ゴールから逆算する思考力。
- 限られた時間で組み立てる計画力。
- 考え続ける持久力。
受験では「合格をつかみ取る」ための力でした。でも、
3年間のサポートを経て、中学受験の経験は点数には反映されない、
もっと格別な「良さ」に気が付いた方も多いのではないでしょうか。
そう。
生活を自分で組み立てていく力・自立に向かう力です。
しかし受験終了後、その力を使う場が驚くほどに減ってしまうことに気づかされます。
もしかしたら、私自身の親としての違和感、モヤモヤは
「せっかく身につけた力や習慣が無くなってしまうことへの危機感」
つまり、問題はYouTubeやゲームそのものではなく能力を使う時間・人と交わる時間の減少
なのかもしれません。
キッチンは子どもにとってのスーパー実験室
受験指導の第一線で長年活動してきた 中学受験は親が9割の著者である西村則康 氏は、著書の中で家庭での体験活動の重要性を繰り返し述べています。著書である 我が子が勉強するようになる方法では、家庭環境のつくり方が子どもの思考力や主体性を左右すると強調されています。また 子どもを伸ばす母親は、ここが違う! においても、日常生活の中で思考を使わせる工夫の積み重ねが学力の土台になると述べられています。

西村氏は、上の著書で、キッチンは子どもにとってのスーパー実験室であるという趣旨の話もされています。
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1121-1.html
料理には仮説、実行、修正という循環が自然に含まれているからです。
レシピを読むことは読解。
完成形から工程を考えることは逆算。
同時進行を管理することは計画力。
味を調整することは検証と改善。
受験で培った力を、生活の中で使う演習。それが料理で叶うのです^^
スマホを消費から創造へ
我が家でも、中学受験が終わり、息子はスマホが解禁となりました。
我が家は、スマホ依存度はそこまででもないですが、とにかくゲーム三昧。
そんななか、ある日、スマホで調べてパスタを作ってほしい!とお願いしました。

材料を検索し、工程を確認し、火加減に悩みながら調理する。
途中で塩を入れすぎ、味を調整する場面もありました。なんだかパスタの量もややおかしい…苦笑。
けれど、出来上がったお皿を出し、
母親である私や、弟から「美味しい」と言ってもらった長男の表情は明らかに違っていました。
受動的に消費している時間ではなく、自分で生み出した時間だったのです。
更には、家族からの承認が得られる時間だったのです。
同じスマホでも、使い方で質は変わります。
いきなり本格料理は必要ない
料理と言うと、構えてしまう方も多いかもしれません。
しかし、目的は豪華な食卓ではありません。思考を動かすことです。
大切なのは三つ。
- 子ども一人で完結できること。
- 保護者の負担が増えないこと。
- 失敗しても立て直せること。
例えば次のようなものから始められます。
レトルトパスタソースを使う。
トーストの組み合わせを考える。
卵かけごはんの味を研究する。
お茶漬けの具材構成を設計する。
休日の昼食を任せてみる。
小さな実験の積み重ねが、主体性を育てます。
非認知能力も同時に育つ
料理は思考力だけではありません。
やり切った達成感。
失敗からの修正力。
家族に喜ばれる経験。
生活を自分で回せる感覚。
受験期は点数という評価軸が中心でした。
合格後は行為そのものの価値を体験する時期です。
料理は、その橋渡しができると考えています。
YouTubeを否定しない
動画を見ることを全面的に否定する必要はありません。
レシピ動画を比較する。
複数の作り方を検討する。
食材の産地や栄養を調べる。
こうした使い方に転換するだけで、スマホは学習ツールになります。
禁止ではなく転換。
デジタルネイティブ世代の6年生には、現実的で前向きな関わり方です。
受験後こそ、本当の学びの始まり
中学受験で得た力は本物です。
だからこそ、眠らせてしまうのは惜しい。
週に一度でもよい。
一品だけでもよい。
今日何かお願いできるかなと声をかける。
それだけで、思考力は消費から活用へと変わります。
YouTubeばかりでやだなと感じるのは、子どもの可能性を信じているからですよね。
だからこそ、子どもが前向きにうれしくなるような環境で「キッチンに立つ時間」が作れるといいなと感じます。

執筆者:石井 千賀子(いしい ちかこ)
薬剤師。昭和大学薬学部卒業後、昭和医科大学、調剤薬局に勤務。医療現場での経験と、子育てを通じて得た実感をもとに、食と生活習慣が子どもの学びや心身の土台をつくることに着目。現在は食育スクール運営のほか、科学的根拠に基づきながら医療・教育・食を横断する立場から保護者に寄り添うコラム執筆やセミナーを行っている。すべてのコラムへx
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