中学受験と風邪薬──薬剤師・食育専門家として考えるお母さんができること

受験当日ではなくとも風邪は困る
「お母さん、喉が痛い…」と言われるとドキッとする。
そんな中学受験生をもつお母さんは多いのではないでしょうか。
なんだか、子どもが風邪ひきそうな気がする…。
私は薬剤師であり、食育専門家でもあります。だからこそ、風邪の兆候には敏感です。けれど我が子となると受験生の母としての感情が先に動きます。
子どもの体調を心配する気持ちはもちろんあります。でも、
「今週大事な模試なのに…」
「このタイミングで塾休むのは痛いなあ…」
そんな感情が襲ってしまうのも事実です。
受験期の風邪は、子ども本人の体調だけでなく、家族の心にも影響します。焦り、不安、そして「何かしてあげたい」という思い。そんな時こそ、冷静に、科学的に、そして温かく対応したい、そう思いませんか?
風邪薬の選び方──薬剤師としての視点
まず、大前提として、風邪薬は「治す薬」ではなく「症状を和らげる薬」です。
ウイルスそのものを排除する力はなく、体が回復するまでのサポート役にすぎません。
※特別なウイルスや、細菌性の場合は薬物治療が必要な場合もありますので、辛そう、治りが悪い、いつもと違うなとおもったら受診が必要です。
では、市販の「風邪薬」を使いたい場合、注意したいポイントをまとめてみました。
受験生にとって注意すべきポイント
- 眠気を誘う成分に注意:抗ヒスタミン薬は鼻水を抑える一方で、眠気を引き起こすことがあります。勉強への集中力を妨げる可能性があるため、成分表をよく確認し登録販売者や薬剤師に相談しましょう。
- 単剤での対応が理想:総合感冒薬は便利ですが、不要な成分まで摂取してしまうことも。咳だけなら鎮咳薬、発熱だけなら解熱鎮痛薬と、症状に応じた選択が大切です。
- 小児用の用量に注意:市販薬でも、年齢や体重に応じた用量を守ることが重要です。自己判断せず、薬剤師に相談するのが安心です。
薬で「とめる」ことが良いわけではない
咳が出るから、咳止めを使う。
熱があるから解熱剤を使う。
下痢をするから下痢止めを使う。
目の前で苦しむ我が子に、「早くよくなってほしい」と思うがあまり、薬を使いたくなる気持ちはよくわかります。ですが、症状を止める=治るではない。ということです。
症状は時に、ウイルスを体から排除するための防衛反応であったり、身体がウイルスと戦っている証拠であることがあります。いつから、どのような症状なのか、水分がとれるのか?寝られるのか?苦しくないのか?その上で、受診をする、市販薬を使うなど検討してください。
私自身は、受診をすることもあれば、市販薬を使用することもあります。ですが何より子どもに伝えることは薬だけに頼らない「食事と休養」の重要性です。
食育の力──母としての実践
風邪予防において、食は「日々の免疫力づくり」です。薬剤師としての知識と、食育専門家としての経験を活かし、私は家庭の食卓を「予防の場」として整えています。
おすすめ!「はちみつ&ヨーグルト」

ヨーグルトにはちみつをかけるだけ。
我が家ではここに、黒ゴマきなこや、フルーツを追加することもあります。
※「はちみつは、上気道感染(URTI: upper respiratory tract infection/風邪様症状)において通常ケア(対症療法)よりも症状改善に優れていた」という系统的レビュー
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32817011/
※「ヨーグルトを8週間連続で摂取したところ、(ヒト健常成人において)生菌/死菌を問わず、単独で免疫系(IgM・IFN-γ・T細胞数など)に影響を与えた」
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11206341/?utm_source=chatgpt.com
ちょっとした工夫ですが、「出来ることを継続すること」が心も体も整えることにつながるのではないでしょうか。
受験期の風邪対策──家庭でできること
受験期の健康管理は、家庭全体の協力が不可欠です。
- 加湿と換気の徹底
- 手洗い・うがいの習慣
- 睡眠の質を守る
- 家族の健康意識
万が一風邪をひいてしまったら、焦らず、冷静に、そして優しく対応することが大切です。
- 薬は症状に応じて最小限に
- 食事は消化の良いものをを。
- 水分補給をこまめに
- 心のケアも忘れずに
勉強が予定通りに進まない、テストを万全な状態で受けられない。
そう心が焦る気持ちはわかります。ですが、一番苦しいのは「本人」です。お母さんはお母さんができることを丁寧に焦らずにしてあげたいですね。
おわりに──
中学受験は、子どもにとって人生初の大きな挑戦です。その舞台裏には、家庭の支えがあります。

私は薬剤師として、正しい薬の知識を。
食育専門家として、免疫力を高める食事を。
この2つの視点を持つことで受験を支える力になれると信じています。
何かのお役に立てると嬉しいです。

