【薬剤師×子どもの食育】発酵なし・お酒なし!子どもと育脳シュトーレン作りでクリスマスの「知育」を楽しもう
12月の行事といえば、「クリスマス」ですね。寒い冬でもワクワク胸躍り、心が温かくなる季節。子どもたちはサンタクロースが来るのを今か今かと待ちわびて、大人は一年の締めくくりの時期を友人や家族と楽しく過ごす。そんな素敵な行事です。

イエス・キリストは人々を救うために人間の姿になってあらわれ、多くの人を救ったとされています。その降誕した日が、12月25日クリスマスだと言われているため、12月25日はイエス・キリストの「降誕祭」や「生誕祭」とも言われるようです。
お酒ナシ発酵ナシ!子どもと一緒に作って食べられる簡単シュトーレン
今回は、子どもも美味しく食べられる食べきりサイズのシュトーレンをご紹介します。シュトーレンはドイツのクリスマススイーツで、クリスマスまでの数週間の間に少しずつ食べてクリスマスを迎えるというお菓子ですが、ラム酒やスパイス、砂糖をたくさん使ったシュトーレンは、やや大人向きの印象があります。
そこで今回は、子どもでも簡単に作れて食べやすいシュトーレンで、クリスマスシーズンのおやつを楽しんでみてはいかがでしょうか?
私は薬剤師として、また食育スクールの運営者として、多くの子どもたちと接してきました。その経験から言えるのは、料理は単なる家事ではなく、子どもの「生きる力」を育む最高の教材だということです。今年のクリスマスは、買うのではなく「作る」楽しみを親子で味わってほしいです^^
シュトーレンってどんなお菓子?食育視点で見るドイツの文化
レシピに入る前に、少しだけシュトーレンの背景についてお話ししましょう。料理の背景にある文化や歴史を子どもに伝えることも、立派な「食育」の一つです。
幼子イエスを包む「おくるみ」の形
シュトーレン(Stollen)は、ドイツ生まれの菓子パンです。その独特な形は、生まれたばかりのイエス・キリストを包んだ「おくるみ」を模していると言われています。表面に真っ白な粉砂糖をたっぷりまぶすのも、おくるみの白さや雪を表しているそうです。
クリスマスを「待つ」楽しみ(アドベント)
本場ドイツでは、クリスマスの4週間前から少しずつスライスして食べる習慣があります。日が経つにつれてドライフルーツの風味が生地に馴染み、味わいが深くなっていく変化を楽しみながら、「あと何日でクリスマスかな?」と当日を指折り数えて待つのです。
子どもたちにとって「待つ」という行為は、楽しみを膨らませ、時間感覚を養う大切な経験です。今回ご紹介するレシピは、長期保存向きではありませんが、週末に作ってクリスマスまでの数日間、おやつとして楽しむにはぴったりです。
なぜ「お酒なし・発酵なし」なのか?薬剤師ママのこだわり
通常のシュトーレンは、保存性を高めるためにラム酒などのアルコールや、大量の砂糖、そしてイースト菌による発酵工程が必要です。しかし、これらは小さなお子様と一緒に作るには少しハードルが高い要素でもあります。
今回ご紹介するレシピには、私のこだわりが詰まっています。
- 時短で作れる(発酵なし): 子どもの集中力は長く続きません。発酵で1時間待つ間に飽きてしまうことも。今回はベーキングパウダーを使い、混ぜて焼くだけの工程にすることで、子どもの「やりたい!」という熱意が冷めないうちに完成させることができます。
- 安心素材(お酒なし): ドライフルーツの洋酒漬けは使わず、電子レンジでフルーツを柔らかくする工夫をしました。アルコールの心配がないので、小さなお子様でも安心です。
- 甘さ控えめ・食べきりサイズ: 市販のものは保存のために糖度が非常に高いですが、手作りなら甘さを調整できます。また、食べきりサイズにすることで、衛生面でも安心です。
【レシピ】子どもと作る!簡単ミニ・シュトーレン
それでは、早速作ってみましょう。今回は5cm×15cmのものが2台できる分量です。

材料(5㎝×15㎝ 2台分)
【生地のベース】
- 強力粉:80g
- 薄力粉:40g
- ベーキングパウダー:小さじ1
- 無塩バター:40g
- 塩:ひとつまみ
- グラニュー糖:40g
- 溶き卵:1/2個分
【具材(フィリング)】
- ドライフルーツミックス:40g
- レモン汁:小さじ1
- メープルシロップ:大さじ1
- ※メープルシロップを使うことで、お酒を使わなくても風味とコクが格段にアップします!
- ミックスナッツ(くるみ、カシューナッツ、アーモンド等):40g
【仕上げ(コーティング用)】
粉砂糖:適量
無塩バター:30g
下準備
・生地用のバターは室温に戻して柔らかくする。
・粉類(強力粉、薄力粉、ベーキングパウダー)をふるい合わせる。
・ドライフルーツ、レモン汁・メープルシロップを耐熱ボウルにいれ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ600wで1分加熱する。
・オーブンを200℃に予熱する。
作り方
① ナッツ類は粗く刻み、フライパンで軽くローストする。
② ボウルに生地用のバター、塩をいれ、ゴムベラで練り混ぜる。なめらかになったら、グラニュー糖を数回に分けて加え、白っぽくなるまで擦り混ぜる。
③ ②に溶き卵を3回に分けて入れ、都度よく混ぜる。粉類を加え、ゴムベラで切るようにさっくりと混ぜる。

- ④ ③に①のドライフルーツ、ナッツ類を加え、生地がひとまとまりになるまでしっかり混ぜる。

⑤ オーブンシートに生地をのせ、手で縦15㎝×横12㎝×厚さ2㎝程度にのばす。

⑥ 生地の奥側1/3を手前に折り、手前側1/3も奥に折る。中心が山になるように調整する。

⑦ レーズンが生地の表面に出ないように、生地の内側に入れ込む。
⑧ 200℃のオーブンで10分焼き、焼きあがったら180℃に下げたオーブンで20分焼く。途中、耐熱容器に入れたバターをオーブンの上の温かい場所に置き、バターを溶かす。

- ⑨ 焼きあがった生地に、溶けたバターをハケでまんべんなく塗り込む。

- ⑩ 粗熱が取れたら、粉糖をかけ完成。

ここが学びのチャンス!子どもの能力を伸ばす4つのポイント
「混ぜる」動作で語彙力と観察力を育む
バターを「擦り潰すように」混ぜる、グラニュー糖を「練り」混ぜる、粉を入れ「切るように」混ぜる……など、同じ混ぜるにもたくさんの言葉があります。完璧にできなくても、「色んな言いかたがあるんだな」と気が付くことできたら花丸です。
また、「混ぜるの疲れちゃったよ!」「ケーキ屋さんってこんなことしてるの? 大変だね」など、食べ物の背景にある人や物への感謝の気持ちが会話の中から生まれてきたら素敵ですね。
ナッツを砕いて「力加減」を知る
少し厚めのビニール袋にナッツを入れて麺棒でたたいて砕きます。麺棒を持つ手の位置、押さえる手の位置などを経験として学んだり、力加減を知るきっかけになります。
【⚠ 薬剤師から重要な注意点 ⚠:ナッツの誤嚥について】
ナッツ類は、消費者庁より「5歳以下の子どもには食べさせないよう」注意喚起がされています。噛み砕く力が未熟なため、誤嚥(ごえん)のリスクがあるからです。 5歳未満のお子様と楽しむ場合は、ナッツを抜くか、粉末状のアーモンドプードルに変えて楽しんでくださいね。 アレルギーにも十分ご注意を!
ハケ使いで養う「先を見通す力」
料理で「ハケ」を使うシーンは少なく、子どもたちにとっては、まるで図工の時間や絵の具遊びのようなワクワク感が詰まった「魔法の道具」に見えるはずです。
「全体にまんべんなく塗ってね」と伝えることで、空間認知能力が刺激されます。また、バターの残量を見ながら全体に配分を考える作業は、計画性や「先を見通す力」のトレーニングにもつながります。「絵の具みたいで楽しい!」と盛り上がること間違いなしです。
粉砂糖でイマジネーションを広げる
茶こしを使うことも、子どもにとってはお砂場遊びの延長でもあります。それが真っ白い雪のようですから歓声は止まりません。「雪のお城を作ってね」「茶色い土が見えないように雪を降らせてね」など、子どもがイメージしやすい言葉を選んで伝えてみてくだい。
料理は「科学」と「愛情」の実験室
「お菓子作りは計量が命」と言われるように、正確さが求められるため、ハードルが高く感じるかもしれません。しかし、だからこそ教育的な価値が高いのです。
- 算数の要素:重さを測る(グラム)、数を数える、分ける(分数)。
- 科学の要素:バターが溶ける(融解)、卵で乳化する、熱で膨らむ(化学反応)。
キッチンは家庭にある一番身近な実験室です。「これ本当に砂糖?舐めてみていい?」「わっ!甘い!」といった素朴な驚きこそが、学びの原点です。
完璧な形にならなくても大丈夫。多少不格好でも、自分で一生懸命作ったシュトーレンの味は格別です。 「おいしいね」と笑顔で言い合える食卓(共食)の経験は、子どもの自己肯定感を高め、家族の絆を深める「心の栄養」になります。
本格的なシュトーレンに比べて日持ちはしませんが、お酒を使わず、砂糖を減らすことで、クリスマスのおやつに親子で手軽にできるシュトーレンです。ぜひ、お試しくださいね。
執筆者:石井 千賀子(いしい ちかこ)

「食と学ぶと」代表 /薬剤師/ 青空キッチン大田区久が原・大森校 オーナー / 2人の男の子ママ。