正月の食べすぎに。七草がゆを「子どもが食べやすいリゾット風」で楽しむじんじつの節句/行事食の工夫

〜行事食は、がんばらなくていい。親子で季節を味わうという選択〜
こんにちは。
東京・大田区で「食と学ぶと」を主宰している、石井千賀子です。
1月7日は「人日の節句(じんじつのせっく)」。
この日に七草がゆを食べ、一年の無病息災を願うという、日本に古くから伝わる行事があります。
毎年この時期になると、保護者の方からこんな声を耳にします。
・正月に食べすぎて、なんとなく胃が重たい
・七草がゆの意味は分かるけれど、子どもが食べてくれない
・七草を用意するのが少し大変
行事食は大切だと分かっていても、
「ちゃんとやらなきゃ」「失敗したくない」と思うほど、負担になってしまうことも少なくありません。
さらには、七草って、売ってる期間がとても短い!のですよね。タイミングを逃すと、「買えなかった」ということも。

もう少し、身近に、そして楽しく子どもと関わる方法はないでしょうか?
七草がゆとは?意味と由来をやさしく整理
七草がゆは、
春の七草(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)を入れたおかゆを食べる、日本の伝統行事食です。
その目的は大きく分けて二つあります。
1つ目は、年末年始の食べすぎで疲れた胃腸を休めること。
ごちそうが続いた体を、いったんリセットする意味合いがあります。
2つ目は、一年の無病息災を願うこと。
寒い時期に芽吹く若菜の生命力にあやかる、という考え方です。
つまり七草がゆは、
「栄養をたくさんとらせる日」ではなく、
体をいたわるという考え方を伝える行事でもあります。
「ちゃんとやらなきゃ」が、行事を遠ざけてしまうことも
行事食というと、
- 形を守らなければいけない
- 子どもに全部食べさせなければいけない
- 用意できなかったら意味がない
そんな思い込みを抱きがちです。
けれど、行事の本質は
「季節を感じること」
「昔から続いてきた知恵に触れること」。
完璧に再現することではありません。
むしろ、
「これならできそう」
「ちょっと楽しい」
そう感じられる形のほうが、行事は家庭に根づいていきますし、なにより
子どもたちの心に響くのです。
子どもが喜ぶ「七草がゆリゾット風」という選択
そこでおすすめしたいのが、
七草がゆをリゾット風にアレンジする方法です。

おかゆが苦手な子どもでも、
- チーズのコク
- ほんのりした塩味
- ベーコンや野菜のうま味
- 見た目の彩り
が加わることで、驚くほど食べやすくなります。
これは「伝統を壊す」のではなく、
今の家庭に合わせて翻訳するという考え方なような気がします。
七草リゾット 【家庭でできる簡単アレンジ】

【材料】(2人分)
・ごはん 300g
・七草 1/2パック(約75g)
・ベーコン 1/2枚
・たまねぎ 20g
・茹で人参 6枚
・コーン 10g
・バター 10g
・ピザ用チーズ 30g
・コンソメ 大さじ1/
・水 200ml
【作り方】

① たまねぎはみじん切り、ベーコンは1㎝幅の短冊切り、すずな、すずしろは5㎜幅のいちょう切り、七草の葉は小さくちぎる。
② 茹で人参は型抜きをする。
③ フライパンにバターをいれ、玉ねぎ、ベーコン、すずな、すずしろを加え火が通るまで炒める。
④ ③にごはんをいれ、水、コンソメを加え沸騰したら蓋をして弱火で3分煮る。
⑤ 蓋をあけ、ピザ用チーズ、コーン、①の七草の葉の順に乗せ、蓋をして弱火で3分加熱する。
⑥ お皿に盛り、②で型抜きした人参を乗せる。
七草が手に入らない場合は、
小松菜やほうれん草などの葉物野菜で代用しても問題ありません。
「代用してもいい」
「完璧じゃなくていい」
この余白があることで、
行事食は特別なものから続けられるものへと変わります。
子どもと一緒にできる、ほんの小さな体験
七草がゆ(リゾット)を作るとき、
ぜひお子さんと一緒にこんなことをしてみてください。
- 七草をちぎってみる
- 香りをかいでみる
- 名前を一つだけ覚えてみる
それだけで、
食事の時間は「食べるだけ」から
体験の時間に変わります。
「これ、なに?」
「なんで今日はこれを食べるの?」
そんな会話が生まれたら、それで十分です。

スクールでも、
本や新聞、写真を使いながら
「これがなずなだよ」
「これはせりだね」
と、子どもたちと一緒に確認しながら、にぎやかに行っています。
知識よりも、
関心が芽生えることを大切にしています。
七草がゆができなかった年があっても、大丈夫
「今年は七草、用意できなかった…」
そんな年があっても、まったく問題ありません。
スーパーで
「あ、今日は七草がゆの日だね」
と話すだけでも、立派な行事体験です。
行事は、
がんばるものではなく、
暮らしの中で楽しむもの。
思い出したときに、
できる形で関われば、それで十分だと考えています。
食は、いちばん身近な学びの入り口
七草がゆ一つでも、
- 季節の移り変わり
- 植物への関心
- 日本の文化
- 体をいたわるという考え方
たくさんの「学びの種」が詰まっています。
食卓は、
家庭の中で最も身近な学びの場です。
今年の1月7日、
少しだけ肩の力を抜いて、
親子で季節を味わってみてください。
その積み重ねが、
子どもの「感じる力」や「考える力」を
静かに育てていきます。

執筆者:石井 千賀子(いしい ちかこ)
薬剤師。昭和大学薬学部卒業後、昭和医科大学、調剤薬局に勤務。医療現場での経験と、子育てを通じて得た実感をもとに、食と生活習慣が子どもの学びや心身の土台をつくることに着目。現在は食育スクール運営のほか、科学的根拠に基づきながら医療・教育・食を横断する立場から保護者に寄り添うコラム執筆やセミナーを行っている。