「つぶしがゆって、ブレンダーを使ってもいいですか?」


これは、離乳食の個別相談でよくいただく質問のひとつです。


初めての離乳食。
何から始めたらいいのか、どのくらいの柔らかさにしたらいいのか、どこまでつぶしたらいいのか……。
インターネットや育児書を見ていると、


「10倍がゆ」
「つぶしがゆ」
「裏ごし」
「なめらかなペースト」


など、いろいろな言葉が出てきます。


「つぶしがゆって、ちゃんとすりつぶさないといけないの?」
「ブレンダーで作ったらダメなの?」
「粒が少し残っていたら失敗?」


そんなふうに迷ってしまうのも、当然です。


そこで今回は、離乳食初期のつぶしがゆはブレンダーを使っていいのか、どのような状態を目安にしたらいいのかを、管理栄養士・子どもの食育専門家の視点からお話しします。



結論|つぶしがゆはブレンダーを使ってOK!

まず結論から。

離乳食初期のつぶしがゆは、ブレンダーを使って作っても大丈夫です。

すり鉢や裏ごし器、スプーンの背などを使ってつぶす方法もありますが、ブレンダーを使うことも、忙しいご家庭にとって便利な方法のひとつです。

大切なのは、

「何を使ってつぶしたか」ではなく、「赤ちゃんが食べやすい状態になっているか」

ということ。

離乳食は、調理器具の使い方を覚えることが目的ではありません。

赤ちゃんの発達や食べる様子を見ながら、無理なく食べられる形状に整えていくことが大切です。

「10倍がゆ」より「つぶしがゆ」?

離乳食を始めるとき、

「まずは10倍がゆから」

と聞くことが多いですよね。

実際、「10倍がゆ」という言葉は、離乳食に関する情報の中で一般的に使われています。

一方、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定)」では、離乳初期の米がゆについて「つぶしがゆ」という表現が使われています。

ガイドでは、米がゆは乳児が口の中で押しつぶせるように十分に煮て、初めは「つぶしがゆ」から始め、離乳食に慣れてきたら粗つぶし、つぶさない状態へと進め、軟飯へ移行するとされています。厚生労働省

ここで大切なのは、「10倍」という数字だけにとらわれすぎないこと。

もちろん、おかゆを作るときの水分量は大切ですが、それだけで「これが正解」と決めるのではなく、赤ちゃんが今どのくらい食べる機能を身につけているのかを見ながら進めていきます。

そもそも「つぶしがゆ」ってどんなもの?

「つぶしがゆ」という名前から、

「お米の粒を全部なくさないといけないのかな?」

と思う方もいるかもしれません。

離乳初期のおかゆは、赤ちゃんがまだ大人のように食べ物を噛みつぶせないことを考えて、口の中で扱いやすく、飲み込みやすい状態に調整することが大切です。

離乳の開始は、子どもが食べ物を口に入れ、飲み込むことに慣れていく時期。

厚生労働省のガイドでも、離乳初期は「離乳食を飲み込むこと、その舌ざわりや味に慣れること」が主な目的とされています。厚生労働省

つまり、最初から「上手に食べる」ことを目指す必要はありません。

口に入れる、舌で感じる、飲み込む。

そんな一つひとつの経験を積み重ねていく時期なのです。

なぜ離乳食初期は「なめらか」が大切なの?

離乳食を始めたばかりの赤ちゃんは、まだ食べる機能が発達の途中です。

大人は何気なく、

食べ物を口に入れる
↓
舌で動かす
↓
歯で噛む
↓
飲み込む

という動作をしています。

でも赤ちゃんにとっては、これも練習のひとつ。

そのため、離乳初期には、赤ちゃんが口の中で扱いやすいように、食材をなめらかに調理することが基本になります。

そして離乳が進むにつれて、

なめらか → 粗つぶし → 舌でつぶせる固さ → 歯ぐきでつぶせる固さ

というように、少しずつ食感を変えていきます。

これは、「いつまでもペーストを食べる」ということではなく、食べる力の発達に合わせて、食感も少しずつステップアップしていくということです。

ブレンダーを使うメリット

では、つぶしがゆをブレンダーで作るメリットは何でしょうか?

① 短時間でなめらかにできる

おかゆを少量ずつスプーンの背でつぶしたり、裏ごししたりするのは、思っている以上に時間がかかります。

特に離乳食を始めたばかりの時期は、一度に食べる量が少ないため、

「こんな少量のために、こんなに時間がかかるの?」

と感じることも。

ブレンダーなら、比較的短時間でなめらかな状態にできます。

② まとめて作りやすい

毎食その都度おかゆを作るのが難しい場合には、まとめて作って保存する方法もあります。

離乳食作りは毎日のこと。

「頑張って手作りする」ことより、「無理なく続けられる方法を見つける」ことも大切です。

③ 忙しいママの負担を減らせる

仕事、家事、育児。

赤ちゃんのお世話をしながら、毎回丁寧に裏ごしするのは大変ですよね。

便利な調理器具を上手に取り入れることは、決して手抜きではありません。

むしろ、ママやパパが少しでも余裕を持って赤ちゃんとの食事時間を過ごすための工夫です。

ブレンダーでつぶしがゆを作るときの3つのポイント

ここからは、実際にブレンダーを使うときのポイントです。

ポイント①「なめらかにすればするほど正解」ではない

ブレンダーを使うと、とても簡単になめらかな状態にできます。

でも、

「とにかく長く回せばいい」

というわけではありません。

離乳食は、赤ちゃんの発達に合わせて食感を少しずつ変えていくことが大切。

最初はなめらかな状態から始めても、赤ちゃんが慣れてきたら、少しずつ粗さを残すなど、段階的に変化させていきます。

「今の我が子には、どんな状態が食べやすいかな?」

という視点で見てみましょう。


ポイント② 水分量を調整する

ブレンダーにかけると、おかゆの状態が大きく変わることがあります。

「思ったよりさらさらになった」

「逆に、もったりしている」

ということも。

その場合は、水分を少しずつ加えながら調整します。

大切なのは、「10倍がゆだから、この硬さでなければいけない」と数字だけで決めるのではなく、赤ちゃんが口に入れたときに無理なく食べられる状態かどうかを見ること。

なお、加える水分は、調理や保存の状況も含めて安全に扱えるものを使用しましょう。


ポイント③ 赤ちゃんの様子を見ながら調整する

同じ月齢でも、食べる様子は一人ひとり違います。

例えば、

  • 口を閉じて飲み込めている
  • 舌で食べ物を押し出してしまう
  • むせている
  • 食べることを嫌がる
  • 口の中にため込んでいる

など、さまざまです。

「生後○か月だから、この形状!」

と決めつけるよりも、月齢を目安にしながら、赤ちゃんの発達や食べる様子を見て調整することが大切です。

厚生労働省のガイドでも、離乳の進め方はあくまで目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整するとされています。厚生労働省

つぶしがゆをブレンダーで作る基本の流れ

実際の作業は、難しく考えなくても大丈夫です。

① おかゆを十分に煮る

まずは赤ちゃんが口の中で扱いやすいよう、十分に柔らかく煮ます。

厚生労働省のガイドでも、米がゆは乳児が口の中で押しつぶせるよう十分に煮ることが示されています。厚生労働省

② ブレンダーにかける

少量から様子を見ながら、なめらかにします。

製品によって使い方が異なるため、使用するブレンダーの取扱説明書も確認してください。

③ 水分を調整する

必要に応じて水分を加え、赤ちゃんが食べやすい状態にします。

④ 赤ちゃんの様子を確認する

口に入れたときの様子や、飲み込み方を見て、次回の食感や水分量を調整します。

この「見て、調整する」の繰り返しが、離乳食ではとても大切です。

つぶしがゆを作ったら「裏ごし」は必要?

これも個別相談でよくある質問です。

「ブレンダーにかけたけど、さらに裏ごししたほうがいいですか?」

答えは、必ずしも必要とは限りません。

ブレンダーで赤ちゃんが食べやすい状態になっているのであれば、さらに裏ごしをしなければならない、という決まりがあるわけではありません。

逆に、ブレンダーだけでは気になる粒や皮などが残る場合は、必要に応じて裏ごしするという方法もあります。

ここでも大切なのは、

「どの道具を使ったか」ではなく、「赤ちゃんが食べやすい状態になっているか」

です。

離乳食初期は「完璧なつぶし」にこだわらなくても大丈夫

初めての離乳食では、

「粒が残っていたらどうしよう」

「なめらかじゃないとダメ?」

「もっとつぶさないといけない?」

と、細かなところまで気になってしまいますよね。

でも、離乳食はテストではありません。

100点のつぶしがゆを毎回作ることが目的ではなく、赤ちゃんが食べ物に慣れていくこと、食べる経験を積み重ねることが大切です。

最初はなめらかに。

慣れてきたら少しずつ粗く。

そして、舌でつぶせるものへ。

さらに、歯ぐきでつぶせるものへ。

食感を変えていくことそのものが、赤ちゃんの「食べる力」を育てていきます。

「食べない」「吐き出す」も、離乳食初期にはあります

離乳食を始めると、

「せっかく作ったのに食べてくれない」

「口に入れたら全部出してしまった」

ということもあります。

そんなとき、

「私の作り方が悪いのかな?」

と自分を責めなくて大丈夫です。

離乳食の開始直後は、食べ物を飲み込むことや、その舌ざわり・味に慣れることが主な目的の時期です。厚生労働省

赤ちゃんにとっては、

「これは何だろう?」

「いつものミルクと違うな」

という新しい経験。

最初からたくさん食べることを目標にしなくても大丈夫です。

赤ちゃんの様子を見ながら、少しずつ経験を重ねていきましょう。

離乳食は「正しい方法」より「続けられる方法」も大切

離乳食の情報を調べていると、

「裏ごししましょう」

「すり鉢を使いましょう」

「手作りしましょう」

など、さまざまな方法が見つかります。

もちろん、どの方法にも良さがあります。

でも、育児をしながら毎日の離乳食を作るご家庭にとって、続けやすいことも大切なポイントです。

すり鉢でつぶすのが好きなら、それでOK。

スプーンの背で少量ずつつぶす方法が合っているなら、それもOK。

ブレンダーが便利なら、ブレンダーを使ってOK。

「楽をしている」と考える必要はありません。

便利な道具を使って生まれた時間を、赤ちゃんとの食事時間やふれあいに使う。

それも立派な育児の工夫だと思います。

離乳食は「食べる力」を育てる時間

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳を単なる栄養補給の期間ではなく、子どもの成長・発達に合わせて「食べる力」を育てていく過程として捉えています。2019年の改定では、親子の個別性を尊重し、不安や悩みに寄り添った支援の重要性も示されています。厚生労働省

だからこそ、離乳食では、

「何グラム食べた?」

だけではなく、

「口を動かせたかな?」

「飲み込めたかな?」

「今日は少し食べ物に慣れたかな?」

というところにも目を向けてみてください。

一回一回の食事が、赤ちゃんにとっては新しい経験です。

その積み重ねが、少しずつ「食べる力」になっていきます。

管理栄養士から、初めて離乳食を作るママへ

初めての離乳食は、わからないことがたくさんあります。

「これで合っているのかな?」

「もっとつぶしたほうがいい?」

「ブレンダーを使ってもいいの?」

そんな疑問が出てくるのは、赤ちゃんのことを大切に考えているからこそ。

だから、迷ったときには「正解探し」をしすぎなくても大丈夫です。

離乳食は、赤ちゃんの成長とともに少しずつ変わっていきます。

今日なめらかだったものが、数週間後には少し粒のあるものを食べられるようになる。

昨日は食べなかったものを、今日は少し口にしてみる。

そんな小さな変化を見つけることも、離乳食の楽しさです。

そして、ママやパパ自身も、赤ちゃんと一緒に少しずつ慣れていけば大丈夫。

まとめ|つぶしがゆはブレンダーを使ってOK

離乳食初期の「つぶしがゆ」は、ブレンダーを使って作っても大丈夫です。

大切なのは、

  • 赤ちゃんが食べやすい状態にする
  • 発達に合わせて食感を少しずつ変えていく
  • 赤ちゃんの食べる様子を見ながら調整する
  • 家庭で無理なく続けられる方法を選ぶ

ということ。

「10倍がゆだから絶対にこの状態」という数字だけにとらわれず、赤ちゃんの「食べる力」の発達を見ることを大切にしてみてください。

はじめの一歩は、みんな手探り。

「これでいいのかな?」と迷いながら進む時間も、離乳食の大切な一部です。

ブレンダーなど便利な道具も上手に取り入れながら、無理なく続けられる方法を見つけていけたらいいですね。

少しずつ、できることが増えていく。

その積み重ねが、きっと赤ちゃんの「食べる力」につながっていきます。



▼東京都大田区久が原で離乳食教室を開催しています▼

離乳食教室では、管理栄養士が一緒にお子さんの「食べる」を考えます。

離乳食を始めたばかりの方も、
「ちょっと相談してみたい」という方も、
お子さんの食べる様子に合わせて、一緒に考えていきましょう。

参考文献

  • こども家庭庁「授乳や離乳について/授乳・離乳の支援ガイド(平成31年〈2019年〉3月)」 CFA Institute Japan
  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)」厚生労働省



執筆:住澤陽子

管理栄養士/キッズ食育トレーナー/離乳食アドバイザー
地域に根差した食育活動への想いから、キャリアアップを目的にキッズ食育トレーナー資格を取得。双子育児の真っ最中に直面した、時間確保という大きな課題を克服し、自分のペースで学び続け、全国の仲間との出会いと、子どもたちや家族の笑顔との出会う。現在は子どもの食育に特化した活動を展開。管理栄養士としての専門知識と、食育スクールでの経験、子育ての実体験を活かした子育中のママに寄り添う視点が評価されている。