「ペースト状の離乳食は食べていたのに粒のあるものにしたら口から出してしまう」
「離乳食中期になったのになかなかつぶつぶを食べてくれない」
「仕事や家事で忙しい中、離乳食の進め方が合っているのか不安……」

離乳食が進むにつれてこのような悩みを感じることはありませんか?

赤ちゃんが食べ物を口から出したり、粒のある食材を嫌がったりすると「食べることが嫌いになってしまったのかな」「このままペースト状のままで大丈夫?」と心配になりますよね。

けれど離乳食を口から出す理由は食べたくないからとは限りません。食材の食感に慣れていなかったり、舌や口の動かし方を練習していたりすることも考えられます。

大切なのは月齢だけで判断せず、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ食べ方を経験していくことです。

この記事では管理栄養士・子どもの食育専門家の視点から、離乳食中期に粒を口から出す理由やペーストからつぶつぶへ無理なく進めるための工夫を紹介します。

離乳食中期に粒を口から出すのはなぜ?

離乳食中期は生後7〜8か月頃が目安とされています。この時期はなめらかなものを飲み込む段階から、舌と上あごを使って食べ物をつぶし、飲み込む段階へと進んでいく時期です。

ただし、月齢はあくまでも目安。食べ方や発達には個人差があるため、同じ月齢でも食べられる食感や大きさは異なります。

では、粒のある離乳食を口から出してしまうのはどのような理由が考えられるのでしょうか。

1.ペースト状と粒のある離乳食では食べ方が違う

なめらかなペースト状の食べ物と粒のある食べ物では、口の中での扱い方が異なります。

ペースト状のものは舌でまとめて飲み込みやすい一方、粒のあるものは舌を動かして食べ物をつぶし、口の中でまとめて飲み込む必要があります。

そのため、ペースト状の離乳食をよく食べていた赤ちゃんでも粒が加わると戸惑うことがあります。

大人にとっては小さな変化でも赤ちゃんにとっては新しい食べ方への挑戦です。

食べ物を口から出す様子が見られたら、食材の大きさや硬さが今の食べる力に合っているかを確認してみましょう。

2.舌や口の動かし方を練習している途中

赤ちゃんは食べる経験を重ねながら、舌や唇、あごなどを少しずつ使えるようになっていきます。

離乳食中期頃には舌と上あごを使って食べ物をつぶす動きが育っていきます。

しかし、初めての食感や慣れない形状の食べ物は思うように口の中で扱えないこともあります。

口から出したものを見てすぐに「食べる意欲がない」と判断する必要はありません。食べ物の形状が合っていない可能性も考えながら、赤ちゃんの表情や口の動きを観察してみましょう。

3.食感や温度、味に戸惑っていることも

食べ物の食感だけでなく、温度や味、口当たりなどが気になっている場合もあります。

例えば同じにんじんでも、なめらかにつぶしたものと細かな粒が残ったものでは、口に入れたときの感覚が異なります。

また、食材によって水分量やまとまりやすさも違います。

一度口から出したからといって、その食材がずっと苦手とは限りません。調理方法や食感を変えることで食べやすくなる場合もあります。

ペーストからつぶつぶへ!無理なく進める4つのコツ

「食べられるようになってほしい」と思うと、早く粒のあるものに慣れさせたくなるかもしれません。

けれど無理に進めることよりも、赤ちゃんが食べやすい形状を探しながら経験を重ねることが大切です。

1.すりつぶし具合を少しずつ変える

ペースト状の離乳食を食べている場合はいきなり大きな粒を加えるのではなく、なめらかさを少しずつ変えてみましょう。

例えば、次のような進め方があります。

  • なめらかにすりつぶした状態
  • 少しだけ粒が残る状態
  • 舌でつぶせる程度のやわらかさと大きさ

ただし、すべての赤ちゃんに同じ順番が合うわけではありません。今の食べ方を見ながら食べやすい状態を探していきましょう。

粒を増やしたことで食べにくそうにしている場合は無理にその状態を続けず、食べやすい形状に調整して構いません。

2.食材の大きさや硬さを調整する

離乳食中期の食材は舌でつぶせる程度のやわらかさが目安です。

ただし、やわらかく煮てあっても食材によっては繊維が残ったり、口の中でまとまりにくかったりすることがあります。

例えば野菜は十分に加熱してやわらかくし、必要に応じて細かく刻んだり、つぶしたりしてみましょう。

魚や肉などもパサつきや繊維が気になる場合は、食べやすい状態に調理する工夫が必要です。

大きさだけでなく、指でつぶせる程度のやわらかさか、口の中で扱いやすい状態かという点も確認しましょう。

なお、食材の形状は月齢だけで一律に決めるのではなく、赤ちゃんの発達や食べ方に合わせて調整します。

3.水分量やとろみを工夫する

食材によっては水分が少なくパサパサしていたり、口の中でまとまりにくかったりすることがあります。

そのような場合はだしや調理に使った水分などを加えて、食べやすい状態に調整してみましょう。

必要に応じてとろみをつける方法もあります。

ただし、水分を加えれば必ず食べやすくなるとは限りません。食材の種類や赤ちゃんの口の動きによっても異なるため、様子を見ながら調整することが大切です。

また、飲み込みにくそうな様子や食事中に繰り返しむせる様子がある場合は、形状の工夫だけで解決しようとせず、専門家に相談しましょう。

4.食べ慣れた食材に新しい食感を取り入れる

新しい食材や食感を一度にたくさん試すと何が食べにくかったのか分かりにくくなることがあります。

そんなときは食べ慣れた食材を使い、形状を少しだけ変えてみるのも一つの方法です。

例えば、これまでなめらかにつぶしていた野菜を少しだけ粒が残る状態にしてみるなど、変化を小さくしてみましょう。

赤ちゃんが食べやすい状態を見つけたら、その経験を次の食事につなげていきます。

忙しい日はすべての食材で新しい食感に挑戦する必要はありません。食べ慣れたものを取り入れながら、無理のない範囲で進めていきましょう。

離乳食を口から出すときに気をつけたいこと

無理に口へ押し込まない

食べ物を口から出したとき、ついもう一度スプーンを近づけたくなることもあると思います。

しかし、食べることを急がせたり、口をこじ開けて食べさせたりするのは避けましょう。

赤ちゃんの口元や表情、舌の動きを見ながら、ひと口ずつ進めます。口の中に食べ物が残っているときは、次のひと口を急がず、飲み込んだことを確認してから与えましょう。

食べることが楽しい経験になるように、落ち着いて食事ができる環境を整えることも大切です。

食べない日があっても、焦りすぎない

赤ちゃんの食欲や機嫌は日によって変わります。

昨日は食べていたものを今日は嫌がることもあれば、初めての食感に戸惑うこともあります。

一度食べなかったからといって、すぐに苦手な食材だと決めつける必要はありません。

また、毎食必ず新しい食材や食感に挑戦しなくても大丈夫です。赤ちゃんの様子に合わせながら、食べやすい形状を中心に少しずつ経験を積み重ねていきましょう。

離乳食の量だけに注目するのではなく、機嫌や活動の様子、母乳・育児用ミルクの飲み方、体重なども含めて成長を見守ることが大切です。

むせ込みや飲み込みにくさが続くときは相談を

食べ物を口から出す理由はさまざまです。すべてが発達の過程として自然なことだと決めつけず、気になる様子が続く場合は相談しましょう。

例えば、食事中に繰り返しむせる、飲み込みにくそうにする、食べられる形状がなかなか広がらない、体重の増え方が気になるといった場合は、かかりつけの小児科や自治体の保健センターなどに相談してみてください。

食べ物がのどに詰まることと食事中に一時的にえずくことは同じではありません。呼吸ができない、声が出ないなど、窒息が疑われる場合は、すぐに救急対応が必要です。

離乳食中期によくある質問

Q.生後7〜8か月なのに、粒のある離乳食を食べられません。大丈夫?

離乳中期は生後7〜8か月頃が目安ですが、月齢だけで食べ方を判断することはできません。

食材の硬さや大きさ、口の動きなどを確認しながら、食べやすい状態に調整しましょう。

食べにくさが続く場合や、成長・発達について心配がある場合は、かかりつけの小児科や管理栄養士などに相談すると安心です。

Q.食べ物を舌で押し出すのは、食べたくないから?

必ずしもそうとは限りません。

慣れない食感を扱いにくい、口の中でうまくまとめられないなど、さまざまな理由が考えられます。

無理に食べさせるのではなく、食材の形状や赤ちゃんの様子を確認してみましょう。

Q.ペースト状に戻してもいい?

粒のある離乳食を嫌がる場合は、一時的に食べやすい形状に調整しても構いません。

ただし、ずっと同じ形状にすることが目的ではありません。赤ちゃんの食べ方を見ながら、無理のない範囲で少しずつ食感の変化を経験できるようにしましょう。

どの程度戻すとよいか迷う場合は、具体的な食材や食べ方を専門家に相談するのもおすすめです。

Q.どのくらい食べなかったら相談したほうがいい?

「何日食べなかったら相談」という一律の基準だけで判断するのは難しいものです。

食べない状態が続いている、母乳や育児用ミルクも十分に飲めない、尿が少ない、元気がない、体重の増え方が気になるなどの場合は、早めに医療機関や保健センターへ相談してください。

特に呼吸が苦しそう、意識や反応がおかしいなどの症状がある場合は、すぐに救急対応が必要です。

離乳食は一歩進んで一歩戻っても大丈夫

ペーストからつぶつぶへ。

大人にとっては小さな変化でも赤ちゃんにとっては食べ方を覚えていく大切な経験です。

思うように食べてくれないと「進め方が間違っているのかな」「ほかの子は食べられているのに」と不安になることもあるでしょう。

けれど、離乳食の進み方は一人ひとり違います。食べる量や食感の進み具合だけでなく、赤ちゃんがどんな表情で食べているか、どんなものを食べやすそうにしているかにも目を向けてみてください。

そして離乳食の悩みは、粒のある食材を食べないことだけではありません。

「食べる量が少ない」「食事に時間がかかる」「好き嫌いが気になる」など、成長とともに悩みが変わっていくこともあります。

毎日の食事づくりや仕事、家事、育児に追われるなかで、一人で解決しようとする必要はありません。

管理栄養士などの専門家に相談することで、今のお子さんに合った食べ方や、家庭で取り入れやすい工夫が見つかることもあります。

離乳食は栄養をとるためだけのものではなく、さまざまな食材や味、食感に出会う時間でもあります。

焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、食べる経験を重ねていきましょう。



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参考資料

厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)』

※本記事は一般的な情報を紹介するものであり、個々のお子さんの発達や健康状態を診断するものではありません。食べ方や成長について心配がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の相談窓口などをご利用ください。

執筆:住澤陽子
管理栄養士/キッズ食育トレーナー/離乳食アドバイザー
地域に根差した食育活動への想いから、キャリアアップを目的にキッズ食育トレーナー資格を取得。双子育児の真っ最中に直面した、時間確保という大きな課題を克服し、自分のペースで学び続け、全国の仲間との出会いと、子どもたちや家族の笑顔との出会う。現在は子どもの食育に特化した活動を展開。管理栄養士としての専門知識と、食育スクールでの経験、子育ての実体験を活かした子育中のママに寄り添う視点が評価されている。