食育を仕事にしたいけれど自信がない人へ。私が教室を広げる中で学んだ3つのこと

「食育を仕事にしてみたい」
そう思ったとき、多くの方が最初にぶつかるのが、
「でも、私にできるのかな…」
という不安ではないでしょうか。
実は私自身も、教室を始めたばかりの頃はまったく同じでした。
今でこそ、子どもの食育スクールとして多くのお子さんに通っていただいていますが、最初から自信満々だったわけではありません。
むしろ逆です。
教室を始めたことを、ママ友に言えませんでした。
「料理教室を始めました」
その一言を言うのが、怖かったのです。
栄養士ではない。
料理研究家でもない。
教育の専門家でもない。
家庭料理をしてきた経験はあっても、
「先生」と名乗るには、何か足りない気がしていました。
でも今振り返ると、
あの時の私は、
「自信がないから動けない」のではなく、
「自信がつく前に、いきなり大きく始めようとしていた」
のかもしれません。
だから今日は、
これから食育を仕事にしたい方へ向けて、
私自身が教室を広げる中で学んだことを、具体的にお伝えしたいと思います。
① 最初は「共感」より、「安心」を届ける
教室を始めたばかりの頃、
私はまず地域にチラシを配りました。
今思えば、
最初の私は、
「食育って大事なんです!」
という「想い」ばかりを伝えようとしていました。
でも実際に保護者が知りたいのは、
そこだけではありません。
・どんな先生なのか
・どんな子が通っているのか
・何が学べるのか
・場所はどこか
・安心して預けられるか
特に子どもの習い事では、
「この先生なら大丈夫そう」
という安心感が、とても大切です。
だから途中から、
チラシやHPに載せる内容を変えました。
どんな力が育つのか
子どもがどんな風に変化するのか
どんな想いで教室をしているのか
を丁寧に伝えるようにしたのです。
すると少しずつ、
「ここなら行ってみたい」
と言っていただけるようになりました。
食育を仕事にしたいと思うと、どうしても「知識」を増やしたくなります。
もちろん学びは大切です。でも、きっとお仕事として展開する時には
十分の知識は持ち合わせているはずです。
でも実は、
最初に必要なのは、
完璧な知識よりも、
「安心してもらえる関係づくり」
なのかもしれません。
② 一人で頑張りすぎない
次に学んだのは、
「一人で全部やろうとしなくていい」
ということです。
私は最初、
友人の先生たちとコラボイベントをよく開催していました。
キッズヨガの先生。
モザイクタイルの先生。
それぞれ得意分野を持つ方と組むことで、
自分一人では届けられない価値を作ることができました。
そして実は、これは集客面だけではなく、
気持ちの面でもとても大きかったのです。
一人だと、
「これでいいのかな」
と不安になる。
でも、
誰かと一緒にやることで、
相談できる。
客観視できる。
応援し合える。
食育の仕事って、
実は「教える力」だけでは続きません。
人とつながる力。
頼る力。
一緒に作る力。
そういう力も、とても大切なのだと思います。
だからもし今、
「一人で始めるのが怖い」
と感じているなら、
誰かと小さくイベントをしてみるのも、一つの方法です。
③ 食育の仕事は、「料理」より「関わり方」が大切
そして最後に、
私が一番大きく感じていること。
それは、
食育の仕事は、
料理を教えること以上に、
「子どもとの関わり方」が大切だということです。
例えばレッスン中。
子どもがうまく卵を割れない。
包丁が怖い。
途中で「できない」と止まってしまう。
そんな場面はたくさんあります。
そのときに、
「代わりにやってあげる」
のではなく、
「どうしたらもう一回やってみようと思えるか」
を考える。
これは、
料理技術というより、
子どもの主体性を育てる関わりです。
実際に、最初は消極的だった子が、半年後には、
「次は自分でやる!」
と言えるようになることがあります。
保護者の方から、
「家でも挑戦するようになりました」
と言われることもあります。
私は、
こういう変化を見るたびに、
食育は単なる料理教室ではないと感じます。
子どもの自己肯定感。
非認知能力。
挑戦する力。
そういう「生きる力」を、
食を通して育てている。
それが、
食育の仕事なのだと思っています。
「自信がついたら始める」ではなく、「始めるから育つ」
今、
食育に興味はあるけれど、
資格を取るほどでは…
私にできるのかな…
そう感じている方もいるかもしれません。
でも、
自信って、
最初からあるものではなく、
小さくやってみる中で、
少しずつ育っていくものだと思うのです。その仕組みがあります。
最初から自分ですべてを生み出すのは難しい。だからこそ「仕組み」を使うのです。
食育の現場には、
写真やSNSだけでは伝わらない空気があります。
体験講座では、
資格を取るかどうかを決める必要はありません。
まずは、
「食育ってどんな世界なんだろう?」
を感じに来てもらえたら嬉しいです。
その小さな興味が、
未来の選択肢につながっていくかもしれません。


執筆者:石井 千賀子(いしい ちかこ)
薬剤師。昭和大学薬学部卒業後、昭和医科大学、調剤薬局に勤務。医療現場での経験と、子育てを通じて得た実感をもとに、食と生活習慣が子どもの学びや心身の土台をつくることに着目。現在は食育スクール運営のほか、科学的根拠に基づきながら医療・教育・食を横断する立場から保護者に寄り添うコラム執筆やセミナーを行っている。