こんにちは。東京都大田区久が原で子どもの食育スクール「青空キッチン」を主宰している、食と学ぶと 代表・薬剤師の石井千賀子です。

食事には、体をつくる「体の栄養」と、安心や生きる力を育てる「心の栄養」という2つの役割があります。今日は、薬剤師として、そして食育に携わる者として、私がいちばん大切にしている「心の栄養」についてお話しします。

この記事のポイント
・食事には「体の栄養」と「心の栄養」の2つの役割がある
・心が満たされることは、食べる意欲や生きる力につながる
・家庭でできるいちばん身近な食育は、食卓で「おいしいね」を分かち合うこと

食事の「心の栄養」とは?

「心の栄養」とは、食べることで得られる安心感や、「おいしい」「うれしい」「ほっとする」といった気持ちのことです。

食事の役割といえば、まず体に必要な栄養をとることが思い浮かびます。これはもちろん何よりも大切です。でも、それと同じくらい、心を満たす役割も大きいと私は考えています。

心が満たされることは、食べる意欲や、体が栄養を取り込む力、そして「生きる力」そのものにつながっていきます。

薬剤師として病室で感じた、食事が持つ力

私が病院薬剤師として働いていたころのことです。
末期のがんを患っていた母は、抗がん剤の強い副作用で、ほとんどの食事を受けつけなくなっていました。

そんな母が、あるとき「卵サンドイッチなら食べられる」と言ったのです。

それから毎日、私はシンプルな卵サンドを作り、昼休みに病室へ持っていきました。そして母と二人で、同じ卵サンドを食べました。今でも、あの味と病室の景色ははっきりと思い出せます。

栄養をとるためだけなら、ほかの方法もあったかもしれません。それでも、母と一緒に同じものを食べる時間は、母にとっても私にとっても、かけがえのない「心の栄養」でした。

誰もが食事を楽しめる社会へ|外食の「やさしさ」から学んだこと

最近、雑誌『AERA』で、ある記事に出会いました。重い障害のある娘さんを育てるお母さんが、飲み込む力が弱い人に配慮した食事の提供を外食企業に提案し続け、それを形にしたのがスープストックトウキョウさんだった、というお話です。

街には外食があふれているのに、外で食事をすることに「緊張」や「あきらめ」を感じている人がいる。私はこの記事で初めてその事実を知り、胸がきゅっとなりました。

一方で、このサービスを始めたことで、お店のスタッフの方々が「目の前のお客さま一人ひとりに、さまざまな背景がある」と想像できるようになった、という変化もあったそうです。相手を思いやる気持ちが、次のやさしさを生んでいく。食には、人と人とをつなぐ力もあるのだと感じました。

子どもの「心の栄養」は、料理の体験から育つ

大田区久が原の青空キッチンのレッスンでも、この「心の栄養」をとても大切にしています。

たとえば、蒸し器のふたを開けて、湯気の向こうからおやつが蒸しあがる瞬間。子どもたちの目は本当にきらきらと輝きます。自分の手で作ったものを「おいしい!」と食べる経験は、何よりの自信になります。

家庭でできる食育は「おいしいね」を分かち合うこと

特別なことをしなくても大丈夫です。毎日の食卓で、お子さまと一緒に「おいしいね」を分かち合うこと。それが、子どもの体と心、そして考える力を育てる、いちばん身近な食育だと私は考えています。

一人ひとりがそれぞれの彩りで「食」を楽しみ、笑顔になれるように。食と学ぶとでは、これからも「食」を教材に、子どもたちと家族の体と心、そして生きる力を育むお手伝いをしていきます。

よくある質問

Q. 食事の「心の栄養」とは何ですか?
A. 食べることで得られる安心感や、「おいしい」「うれしい」「ほっとする」といった気持ちのことです。体の栄養と同じくらい、食べる意欲や生きる力を支える大切な役割があります。

Q. 家庭でできる、いちばん簡単な食育は何ですか?
A. 毎日の食卓で、お子さまと一緒に「おいしいね」を分かち合うことです。特別な料理や準備は必要ありません。

Q. 青空キッチンはどこで、何歳から通えますか?
A. 東京都大田区の久が原校・大森校で開講しており、幼児から小学生までが通っています。料理を教材に、考える力や生きる力を育てる食育スクールです。


企業・教育機関・行政の皆さまへ

「食」が持つ心の栄養としての役割を、子どもや保護者の方に届けたいとお考えの皆さまへ。食と学ぶとでは、延べ8,000名の子どもたちを指導してきた実績と薬剤師としての医療の視点をいかし、食育セミナー・親子イベントの企画運営、講演、コラムの執筆・監修を承っています。

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青空キッチンで、お子さまの「考える力」を育てませんか

青空キッチン大田区久が原校・大森校では、幼児から小学生までの子どもたちが、「食」を教材に考える力・生きる力を育んでいます。体験レッスンを随時受け付けています。

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この記事を書いた人

石井 千賀子(いしい ちかこ)
食と学ぶと 代表/子どもの食育スクール「青空キッチン」大田区久が原校 主宰(2019年〜)/薬剤師

病院薬剤師としての経験と子育ての経験から、「食」を通して子どもの考える力・生きる力を育む活動をしている。延べ8,000名の子どもたちを指導し、生徒120名のスクールに成長。協会大賞など4賞を受賞。キッズコーチングの手法を学び、子どもの気持ちに寄り添う声かけをレッスンに取り入れている。AERA Woman スペシャルサポーター(第2期)。AERA、AERA with Kids、InRedなどの雑誌やJ:COMでも活動が紹介されている。