日中は汗ばむ日が増え、夏の気配を感じる季節になってきました。

この時期になると、管理栄養士として保護者の方からよくいただくご相談があります。

「離乳食の作り置きは大丈夫ですか?」
「食べ残しはどこまでなら食べさせてもいいですか?」
「幼児食も食中毒に気をつけた方がいいですか?」

気温や湿度が上がるこれからの季節は、食べ物が傷みやすく、食中毒を心配する時期です。

特に離乳食や幼児食は、大人の食事以上に注意が必要です。

なぜなら、赤ちゃんや小さな子どもは大人に比べて消化吸収機能や免疫機能が未熟だからです。

今回は、離乳食・幼児食の食中毒予防について、管理栄養士・子どもの食育専門家の視点からお伝えします。

赤ちゃんや子どもはなぜ食中毒に注意が必要なの?

大人が食べても問題のない量の細菌やウイルスでも、赤ちゃんや小さな子どもにとっては大きな負担になることがあります。

乳幼児期は、まだ消化吸収機能が発達途中の段階です。

また、体が小さいため、下痢や嘔吐による脱水症状も起こりやすくなります。

そのため、食中毒を予防することはもちろん、日頃から安全な食事環境を整えておくことが大切です。

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定)」でも、乳幼児の食事では衛生面への配慮が重要であることが示されています。

食中毒予防の基本は「つけない・増やさない・やっつける」

食中毒予防には、昔から言われている三原則があります。

① つけない

食中毒の原因となる細菌やウイルスを食べ物につけないことです。

まず意識したいのは手洗いです。

調理前はもちろん、

  • おむつ替えの後
  • 外出から帰った後
  • 生肉や生魚を触った後

なども丁寧な手洗いを心がけましょう。

また、

  • まな板
  • 包丁
  • 保存容器
  • スプーン

などの調理器具も清潔に保つことが大切です。

特に離乳食づくりでは、大人用の調理器具と共用することも多いため、十分な洗浄と消毒を心がけましょう。

② 増やさない

細菌は温かく湿った環境を好みます。

気温が高い季節は、短時間でも細菌が増殖しやすくなります。

調理後はできるだけ早く食べることが基本です。

すぐに食べない場合は、

  • 冷蔵保存
  • 冷凍保存

を活用しましょう。

また、買い物後に食材を長時間車内へ置いたままにするなども避けたいポイントです。

③ やっつける

多くの細菌やウイルスは加熱によって減らすことができます。

肉や魚、卵などはしっかり加熱し、中まで火が通っていることを確認しましょう。

作り置きを再加熱する際も、全体が十分温まるまで加熱することが大切です。

離乳食はなぜ傷みやすいの?

離乳食は実はとても傷みやすい食事です。

その理由のひとつが、水分を多く含む料理が中心だからです。

例えば、

  • おかゆ
  • 野菜ペースト
  • スープ
  • 煮物

などは水分量が多く、細菌が増えやすい環境になりやすい特徴があります。

さらに離乳食は、

  • 薄味
  • 調味料が少ない

という特徴があります。

大人の食事に比べて塩分や糖分による保存効果が期待できないため、より衛生管理が重要になります。

離乳食の作り置きは悪いこと?

離乳食づくりは毎日のこと。

忙しい子育ての中で作り置きを活用しているご家庭も多いと思います。

作り置き自体は悪いことではありません。

むしろ上手に活用することで、保護者の負担を減らすことができます。

大切なのは保存方法です。

作った後はなるべく早く冷まし、

  • 冷蔵保存
  • 冷凍保存

を行いましょう。

冷蔵保存の場合は早めに使い切ることが基本です。

長期間保存する場合は冷凍保存がおすすめです。

食べ残しはもったいなくても処分がおすすめ

食育の相談でよくいただくのが、

「残った離乳食は次の食事で使えますか?」

という質問です。

結論から言うと、

赤ちゃんが一度口をつけたものは処分がおすすめです。

赤ちゃんの口の中にはさまざまな細菌がいます。

食べるときに、

  • スプーン
  • コップ
  • 食器

に細菌が移る可能性があります。

その状態で時間が経つと細菌が増殖しやすくなります。

「もったいないな」と感じることもあると思います。

ですが、食中毒予防の観点から考えると、

もったいないよりも安全を優先することが大切です。

今日からできる食中毒予防のポイント

新鮮な食材を選ぶ

購入するときは、

  • 消費期限
  • 賞味期限
  • 鮮度

を確認しましょう。

調理後は早めに食べる

できたてが一番安全です。

調理後は長時間常温に置かず、早めに食べることを意識しましょう。

冷蔵庫を上手に活用する

冷蔵庫は食中毒予防の強い味方です。

ただし冷蔵庫に入れていても細菌の増殖が完全に止まるわけではありません。

過信せず、早めに使い切ることも大切です。

しっかり手洗いをする

最も手軽で効果的な予防方法です。

保護者だけでなく、きょうだいや家族みんなで意識したい習慣です。

十分に加熱する

特に肉や魚、卵料理は十分な加熱を心がけましょう。

再加熱の際も中心部まで温めることが大切です。

幼児食でも油断は禁物

離乳食が終わり幼児食になると、

「少し大きくなったから大丈夫かな」

と思うこともあるかもしれません。

ですが、幼児期もまだ大人と同じではありません。

特に、

  • お弁当
  • 外出先での食事
  • 夏場の持ち運び

には注意が必要です。

気温が高い日は保冷剤を活用するなど、安全面への配慮を続けていきましょう。

まとめ|「もったいない」より「安全」を優先しよう

暑い季節は、食べ物が傷みやすくなります。

  • 水分が多い
  • 消化機能が未熟

特に離乳食や幼児食は、

という特徴があるため、食中毒予防がとても大切です。

食中毒予防の三原則は、

  • つけない
  • 増やさない
  • やっつける

です。

難しいことをする必要はありません。

  • 手洗いをすること。
  • 調理後は早めに食べること。
  • 残ったものは無理に取っておかないこと。

そんな小さな積み重ねが、お子さんの健康を守ることにつながります。

毎日の食事を安心して楽しむために、ぜひご家庭でも取り入れてみてくださいね。

参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定)」
厚生労働省「家庭での食中毒予防」
農林水産省「赤ちゃんを守るために」

執筆:住澤陽子
管理栄養士/キッズ食育トレーナー/離乳食アドバイザー
地域に根差した食育活動への想いから、キャリアアップを目的にキッズ食育トレーナー資格を取得。双子育児の真っ最中に直面した、時間確保という大きな課題を克服し、自分のペースで学び続け、全国の仲間との出会いと、子どもたちや家族の笑顔との出会う。現在は子どもの食育に特化した活動を展開。管理栄養士としての専門知識と、食育スクールでの経験、子育ての実体験を活かした子育中のママに寄り添う視点が評価されている。